まだそれを考える段階でないかもしれないが、巨大地震に遭ってSI業界は今後どうなるのだろうか?

日本列島を突然東北地方太平洋沖地震東日本巨大地震東北関東大震災)が襲いました。このような時期に、今回の地震に関してブログエントリを書くことは畏れ多いこと、不謹慎なことと感じられるかたもいらっしゃる思いますし、しばらくブログを書くのもお休みにしようかとも思いましたが、個人ブログですし「自重はダークサイド」*1という警句もあるくらいですから、今後も基本的に正直ベースで考えたことを書いていきたいと考えております。
現時点では被害の全容は正確に把握できていないようですが、震災を受けて亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈りするとともに、大切な家や家族を失われたり、孤立した避難所で不安で不自由な生活を余儀なくされている被災地の方々に対して心からお悔やみ申し上げます。*2私自身は東京で今回の地震に遭遇しました。震源地に近い東北地方と比べると被害の程度は遥かに低いとはいえ、震度5強の強い揺れが5分近くにわたって続き、電車などの交通機関も麻痺して家に帰れなくなるなど、私としては今までここまで大きな地震に遭い恐怖を味わったことは初めての体験でした。
コンビニでもおにぎりやカップラーメンなどの食品はいち早く売り切れてしまい、品切れの状態が続いています。また、便利なので最近よく利用していたネットスーパーも閉店して利用できなくなっています。電車で家に帰ることや、おなかがすいたらコンビニで腹ごしらえの食料を買出しに行くといった日常生活で当たり前と考えていたことが今までどおりにはできなくなっています。関東ではしばらく前代未聞の計画停電ということが現実に行われるようですし、製造業や流通業などを中心に今回の震災が日本の経済に与える影響は本当に計り知れないものがあると思います。また、東北地方があれほどひどい災害に見舞われているということは、お米や魚介類、乳製品なども今後値段が高騰して手に入りにくくなるといった問題も当然出てくるのではないかと思いますし、被災地以外の人の生活にも大きな影響を及ぼすようになることは必至であると思われます。今まで都会での文明的な生活に慣れきった私たちにとって本当の試練はこれからやってくるのではないかという気もしています。
そういった状況の中でも、とにかく私は職業プログラマーとして業務システムの開発の仕事をしているのですが、今後この業界はどうなってしまうのだろうと思うと正直なところ将来がイメージできない不安もあります。とにかく、今までこのブログではSI業界で働くプログラマーの視点から業界での仕事や今後目指すべき方向についていろいろな考察をしてきました。

  • 外国の業界より何十年も遅れている
  • 他の産業に比べて生産性がきわめて低い
  • 開発したプログラムやシステムの品質が低い
  • 優秀なエンジニアが正当に評価されていない
  • 若いエンジニアが使い捨てにされている

今になって思うと、外国人に対するコンプレックスやネガティブな意見が結構多かったかなと反省もしていますが、今まである意味恵まれすぎていたというか、厳しい競争も少なくぬるま湯につかった馴れ合いの環境でソフトウェア開発が行われてきたという事実は否定しがたいことなのではないかと思います。それでも、最近は景気低迷に加えてクラウド技術などの話題もあり、今後はもっと業界を効率的なものに変えていかなくてはというところがあったのですが、もともと危機的な状況の業界に対してとどめを刺すように今回の大震災が起こりました。まだ、地震が起こったばかりで業界の将来のことを冷静に考えるという段階ではないのかも知れませんが、地震の被害で従来のような費用対効果の少ない単純バージョンアップのような案件が激減するのは誰の目にも明らかなことだと思います。まずは、電気、水道などのインフラの復旧が何よりも最優先ですし、少なくとも一時的にせよITへの投資は激減するのは明白なことです。ショック療法と呼ぶにはあまりも厳しすぎた今回の大地震だったわけですが、今度こそはSI業界は生まれ変わらなくては本当にどうしようもないという事態に陥るのではないかと思います。
ただし、悲観的に考えてばかりいても未来がありません。世界中から祈りや応援のメッセージが届けられています。
http://matome.naver.jp/odai/2129985372846288901
また、今回の震災に関連して、以下のサイトでは本当に励まされるようなツイートがいくつか紹介されています。
元気の出るつぶやきを集めました・・・ | IDEA*IDEA
また、日常わが国において当たり前に見られる協力や好意といった日本の文化に加え、日本の防災対策や技術が外国の多くのメディアからは非常に高く評価されているのは本当に誇らしく思います。以前、日本文化は外人プログラマーから意外に尊敬されている? - 達人プログラマーを目指してで、

実際、個人を尊重する外国の文化だとPG一人一人が個別のオフィスを与えられるそうですが、逆に日本のタコ部屋開発の文化はXPのペアプログラミングとかやりやすそうですし、極端な個人主義ではなくチーム全体の成果を重んじるという文化もアジャイルの考え方と適合します。カイゼンなどはリファクタリングに近い発想であると思いますし。だから、本来は日本の文化はアジャイル開発に非常に向いているのではと思いますね。1000年以上の歴史を誇る日本の伝統文化に対して、ゼネコンSIerウォーターフォール文化はわずか数十年の歴史しかありません。そういうことから、日本で未来永劫アジャイルは絶対に流行らないと絶望することはないのかと思いました。本来であれば、外国よりももっとよいソフトウェアを作れる文化的な素地は十分にあるのかと思います。

と書いたことがあったのですが、本来日本的な文化に備わっているよい面がもっと発揮されるような開発手法が採用されるようになれば、海外への輸出できるような高品質で効果的なソフトウェアがもっとたくさん開発されても不思議ではないと思います。歴史的には第二次世界大戦の敗戦など多くの困難を克服してきた日本なのですから、今回の国難も乗り越えることができると信じています。とにかく、失うものが何もないという状態で再スタートすれば業界の改革も急速に成し遂げられると思います。いまこそ業界のリファクタリングの実行に具体的に着手し、従来の非効率な業界の構造や作業方法を改める絶好の機会です。(今のSI業界もリファクタリング可能だと思います - 達人プログラマーを目指して
起こってしまったことは事実として受け止めるしかないのですが、明るい未来を信じ、前向きな気持ちで、これからまたプログラミングの勉強や仕事をがんばっていきたいと考えています。

*1:http://d.hatena.ne.jp/aroundthedistance/20081125/1227599575

*2:今のところ私としては小額の義捐金を寄付するということくらいしかできていないのですが、被災地の方々には本当にがんばっていただきたいと思います。とりあえず自分にできることをやれる範囲でやろう - ふと、思いついたんだ