軽量Javaフレームワークを世の中に広めた名著

Expert One-on-One J2EE Development without EJB

Expert One-on-One J2EE Development without EJB

この本を読んだのは5年以上前のことですが、軽量フレームワークによる新しいスタイルの開発を世の中に一気に広めることになった書物です。それまでは、J2EEパターン 第2版EJBデザインパターンなどのデザインパターンを使った開発手法が当然とされており、J2EEAPIをいかに正しく使うかという点に主眼があったのに対して、この本は公式のEJB仕様を明確に非難し、代わりにPOJOベースの新しい開発手法を提案する画期的な本です。ここ数年Java EE開発をする上で、ずっと私のバイブル的な書物になっていました。Springの最新バージョンとかクラウド対応など新しい技術要素を加味した改訂版が出ないかなと思います。
現在ではEJBPOJOになっていますし、この本で批判されているエンティティBeanなどのEJB2.1までの古い仕様にしたがって新規に開発することはほとんどないでしょう。また、紹介されているSpringのバージョンも古いので、内容的にはとっくに時代遅れになっている箇所も多いのですが、書かれている考え方の多くは今でも通用すると思います。特に、

などの実践的な教えは非常にためになると思います。これほどの名著が残念ながら和訳されておらず、Java EEアーキテクトを名乗る人でも読んでいない人が結構いると思われるのが残念です。DTOクラスとかBusinessDelegateとか本質的でない大量のクラスを開発する従来のスタイルしか知らないアーキテクトが作った規約というのを今でも時々見受けます。