英語コンプレックスを持つプログラマーの弱音

想像以上にガラパゴス化した日本のIT業界?に対して

ありがちな英語コンプレックス。

というコメントをいただいたことで、私は英語コンプレックスが非常に強いということをあらためて思い出しました。英語は全然平気だという方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、私はいまだに英語の苦手意識を完全に克服することができないでいます。もちろん、今まで学校の勉強も真面目にやってきたと思いますし、英会話教材を買ったり、英会話学校に通ったり、英語のニュースを聞いたりいろいろ英語が得意になる努力を続けていますし*1、今では技術書を読んだり、洋画の会話を8割程度はなんとか聞き取れるくらいにはなれましたが、どうしてもネイティブのレベルには遠く及ばないというところがあるのですね。アメリカでは小学生ですら私ではとても舌が回らないくらいのものすごいスピードで流暢に英語を話しているのですよ。サイヤ人と地球人くらいの実力差があると感じます。
それで、特にプログラミングの世界ではすべてが英語圏を中心に進んでいるように思えてしまい、英語を自由自在に使っている外国人に対して正直な気持ちとして強い劣等感を抱いてしまいます。いくら日本固有の優れたプログラミング技術があるといっても、それは例外であり、最新技術に関するほとんどの情報は英語で得られるという事実があります。しかも、認めたくない事実ではありますが、MicrosoftにしてもGoogleにしても、Facebookにしても世界中で成功しているプログラムというのは例外なく英語がベースであり、別の言語へはあくまでもローカライゼーションという位置づけで移植されています。実際、ビジネス的に成功しているソフトウェアは、英語か英語に近い言葉を話しているドイツ、北欧などで開発されたものがほとんどではないのかという事実があります。
もちろん、RubySlim3のように優れたソフトウェアを日本人が発明することはできます。これは結局ノーベル賞をとれる研究のできる日本人が何人もいるということと同じことではないのかと思います。しかし、一部の突出した天才による発明や研究が可能ということと、普通の職業プログラマーが英語ネイティブの人と対等にビジネス上の競争をグローバル市場でするということとは別問題ではないのかという気もします。多くの日本人がオブジェクト指向プログラミングを苦手とするのは英語アレルギーだからか?でも指摘したように、日本人の母国語が英語であったのなら、読みやすいプログラムを書こうとする人も増えると思いますし、日本語で書かれた詳細設計書というSIerの悪しき文化もとっくに消滅していたのではないかと思ってしまいます。
プログラマーの能力としては論理的な設計ができるとか、正しいアーキテクチャーを考えるといったことももちろんありますが、最近のプログラミング言語はどんどんDSLのように英語に近づいてきていますから、分かりやすい変数名やクラス名を付ける上で英語力というのはますます重要になってきていると思います。
そういうことを考えると、一部の発明や研究レベルの仕事をする人を除いて、SIや組み込みなどで使う一般的なレベルのプログラミングはすべて英語の得意なインド人に任せておけばよいのではという極端な考えにもなりますね。つまり、日本人の職業プログラマーは不要ということです。これが非常にとんでもない極論なのは分かりますが、日本のSIerのように仕様を決めてきっちり文書を作り、ウォーターフォールで開発するのであれば、文書の翻訳家やローカライズ担当がいれば原理的に済む筈なのであり、あえて日本人がプログラムを作る意味が少ないと思えてしまいます。
しかし、このブログで何回も指摘してきたように、実際にはウォーターフォールで作れるシステムなど非常に限られているはずですし、のちのち長期にわたる機能追加や変更などのメンテナンスも無視できません。それゆえ本来業務システムのカスタム開発では、アジャイルで顧客と密接に会話しながらメンテナンス性の高いプログラムを作るというのが理想だと信じています。日本の顧客が英語を話すということは当面考えられませんから、こういう分野では外国人プログラマーに仕事をとられるという可能性はなく、今後も日本人プログラマーが活躍できる場所があるのかなと思います。
それから、ソーシャル系などのサービスについてですが、この分野は正直なところ日本人だけでグローバルな市場で闘っていくというのは非常に厳しいものがあるのではないかと思います。英語ネイティブの開発者を中心メンバーとして加えるか、最初から日本市場にターゲットを絞って仕事をしていくというのが現実的なのでしょうか。
まとめると

  • 研究レベルでの仕事
  • アジャイルの業務案件
  • 国内市場をターゲットにしたサービス
  • ゲーム(今のところこれは日本が世界に誇れるもの?)

というのが今後も日本人プログラマーが活躍できる場所なのかと思います。最先端の研究やゲームを除くとあえてガラパゴスなところで仕事をするというのが現実的というか。
以上、英語コンプレックスの私の本音というか弱音を吐かせていただきました。本当はアメリカ人と対等なレベルで仕事をしたいという理想はあるのですけれどね。母国語が英語と大きく異なるというハンディキャップにどのように向き合っていくべきなのでしょうか?皆さんのお考えをお聞きしたいと思いますね。もちろん、私の考えに対する反論もwelcomeです。

*1:特に最近は英語の無料の教材もインターネットで簡単に手に入るようになっていますね。