日本のIT業界のダメな現状を理解するための本

日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由

日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由

達人プログラマーを目指してがんばっていくにしても、やはり、職業プログラマーとして収入を得て家族を養っていくためには、業界のことを把握する必要があるということで、たまには技術書以外の本を紹介したいと思います。
読後の感想としてはまさにタイトルのとおりで、

  • 優秀なエンジニアが苦労する割に会社から評価されされない理由
  • 生産性の低いITベンダー
  • 多重下請け構造にしないと収益の上がらない労働集約的な構造
  • 無意味なシステムを量産するIT理解不足のユーザー企業

など、私が日ごろ感じているこの業界の問題点がわかりやすく記述されていました。業界の問題点のAs Isを手っ取り早く把握するということでは良い本だと思いました。ただし、業界の構造やSIerなど会社が今後どのようになるべきかというということはまったく書かれておらず、また、エンジニアやユーザー企業に対して

  • エンジニアが技術力を生かしたかったら会社から独立するしかない
  • ユーザー企業がもっと賢くITを使いこなしていかなくてはならない

というやや乱暴な提案しか書かれていないので、今後のTo Be像の少なくともヒントになるようなものを期待して読むとがっかりさせられます。また、3年近く前の本ということもありますが、最近のSaaSとかIaaSといったクラウドを中心としたビジネスについては触れられていませんでした。