きのこ本のアーキテクト版
すべてのプログラマーに読んでもらいたい本で紹介した「きのこ本」があまりにも良かったので、同シリーズのアーキテクト向けの姉妹書として
- 作者: 鈴木雄介,Richard Monson-Haefel,長尾高弘
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2009/10/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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中身はまだほとんど読んでないのですが、ちょっと斜め読みしたところでは翻訳の質もよく、プログラマが知るべき97のことと合わせてお勧めできる本だと思いました。興味深いのは、プログラマー向けの本と著者がかなりかぶっていることですね。外国だとやはり上級のプログラマーがアーキテクトになることが多いのだと思いますし、アーキテクトとプログラマーは単なる役割の違いであり、帽子の付け替えによってどちらかのロールを兼任している人も多いのかと思いました。私が今まで外国の本を読んで漠然とイメージしていたソフトウェアアーキテクトの仕事のイメージがより鮮明に理解できそうな気がしました。
確かにプログラマー向けの本だといかに分かりやすく保守性の高いコードを書くかというところが最も強調されているのに対して、アーキテクト向けの本書だと
- 業務要件の視点
- システムの全体的な設計の始点
- システムの非機能面での設計とテスト
- 開発プロセス
- 効率的な開発環境の構築
などの視点が強調されているところがあります。
なお、この本にも日本人アーキテクトの方々の記事が収録されていますが、先ほど書いた外国のアーキテクトの多くがプログラマーを兼ねているのとは対照的に、日本人の筆者の方々はCTOだったり代表取締役だったり、パッケージベンダーの方だったり、上流工程専門のコンサルの方だったりします。以前にアーキテクトもプログラミングするべきか?で書いたようにSI案件の開発現場でhands-onで開発者と一緒にアーキテクチャーを構築する現場監督的な役割の人が一般にアーキテクトとして認識されていないのではないかというところが私としてはちょっと興味深かったです。アーキテクトという言葉の意味するものに対する日本と外国における理解の違いやプログラマーの社会的地位の違いを反映しているのかもしれません。私としてはこういう良書が広く読まれることでSEと同様にソフトウェアアーキテクトという言葉が和製英語化してほしくないと思いました。(私は「自分の職業はSEです」と名乗るのがちょっと恥ずかしい)