アジャイル脳の対立概念はSIer脳でなくてウォーターフォール脳?

SIerがExcel→Javaのコード自動生成をPGに押し付けるのは善か悪か? - 達人プログラマーを目指してに対して「アジャイル脳」の対立概念は「SIer脳」ではなくて「ウォーターフォール脳」であり、「SIer脳」の対立概念は「ソフトウェアハウス脳」なのではというご指摘をTwitter上でいただきました。正確な用語の意味からはまったくそのとおりなのですが、結局

  • SIer脳:人月単価で人を大量動員するのが有利→全体を見れない→作業分割→ウォーターフォール
  • ソフトウェアハウス脳:成果物単価だから少人数で人件費下げる→一人で何でもする→アジャイル*1

という様に繋がっているのですね。だから、「アジャイル脳 対 ウォーターフォール脳」より「アジャイル脳 対 SIer脳」*2の方がこの現在の*3業界の仕事に対する姿勢や考え方の違いに関する問題の本質をより鮮明に表現していると思います。
そうすると、基本的にはSIerでは技術力というのは優先順位が低くなり、営業力やマネジメント力が重要ということになります。また、このビジネスモデルだと当然ウォーターフォール脳の人がお金が稼げる能力が高いため、会社からも評価されて出世しやすいのではないかなと思います。
ちなみに、多くの人々のご意見を参考にすると

  • SIer脳 ⇒ いかに大量の開発者をうまくまとめるかが最重要。技術力は失敗しない程度で十分。人生経験を積んだ「大人の脳」。
  • アジャイル脳 ⇒ ユーザーのためにとにかくよいシステム(プログラム)を作りたいという「純粋な子供の脳」。学者や職人のタイプ。

ということになるのではないかと思います。私として、もう少し何とかならないのかと思うのはこの業界においてSIer脳が過剰に評価されて、逆にアジャイル脳が過小評価され過ぎているのではないかという点ですね。これは一般的に技術軽視とか理系軽視と言ったわが国の全般的な傾向とも関連していると思うのですが、このようなことは今になって私が初めて言い出したものでも何でもなくて、かなり前に以下のような指摘もありますね。
どうせ理系出身者なんていらねえんだよ。
ニッポンIT業界絶望論:Kenn's Clairvoyance - CNET Japan
私としてはこうした事柄について興味関心がなかったこともあり、今までほとんど考えたことがなかったのですが、ブログを付け始めていろいろ調べたり、多くの方々のコメントをいただくことで、上記の問題にやっと気づきました。今までよいプログラムを作ればいつか評価されるようになると信じて疑わなかったですからね。私のような極端なアジャイル脳の人は、SIer脳の人々の考え方を理解するように努めると今まで気づかなかったいろいろなことが見えてくるようになると思いました。

*1:SIerの下請けビジネスしかしていないソフトウェアハウスだと違うかもしれないです。アジャイル脳が活用できるのは独自のサービスを提供しているごく少数の会社にしか当てはまらないかもしれません。

*2:ウォーターフォールが常に工学的でないと主張する気はなく、技術的観点からウォーターフォールが適切なプロジェクトも存在すると思う。しかし、現状多くの場合、業務都合の理由からウォーターフォールが利用されていることが多いのではと考える。

*3:会社の形態と開発プロセスの結びつきは固定というわけではなく、時間軸に依存して変化し得る概念。あくまでも現時点におけるスナップショットとしてこのような関係が成り立つことは明白と言える。